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荒倉沢/山椒魚漁(その1)
荒倉沢の出合いからズーを仕掛けた場所まで400m、ほぼ真っすぐなルートを急登する。沢は荒れた状態で水量は少ない。途中に7mの滝があり高巻いていく。楢の落ち葉がふわふわしていて水分を含んだ腐葉土のよう。不安定で歩きにくいが、この土の軽さが「自分たちには一番歩きやすい」と星さんは言う。
この日は23ケ所に仕掛けておいたズーを見て歩いた。そしてさらに上流に2個のズーを追加した。今後気温が上がってくるとさらに上流までズーを追加していく。
ズー1個に平均10匹、最高で23匹山椒魚が入っていた。流れの速い(強い)場所では、ズーの中の山椒魚は死んでいるものが多かった。なかには1匹も入っていないズームもある。落ち葉がズーに入って編み目を塞ぐと、水が抜けずに口から溢れ出るため逃げられてしまう。
山椒魚は4年くらいで卵を産めるようになるのではないか。ちょっと捕り過ぎたかなと思うと5年目くらいにがくっと減ってしまうから。2歳までは川の中にいる(体長は尻尾も入れて約5cm)。 水の中で生活するから顎のところにふわふわしたエラが4、5本ある。3歳で陸に上がるとエラガなくなる」(上の写真は成長したオスの山椒魚)
腹の黒いところは飲み込んだ餌、黄色の部分は卵。6−8個の卵が見える。メスは尻尾が細く全体に小さい。オスは尻尾が太く体長は平均15cm。20cmはめったにいない。
毎日午前中5−6時間、午後5−6時間歩く。ズーの中を見て、掃除して、仕掛けなおして‥。まわりきれなくて1日おきか2日おきになってしまうこともある。これだとサカナ(山椒魚)が傷ついてしまう」
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「木を伐採したあとに台風がきて沢がだめになってしまった」。沢は5年前の台風のとき荒れてしまった。下流ではそのため砂防ダムの建設が行われている。
尻尾をつかまれると尻尾から白いヤニを出す。「手につくと取れない。歯がないから噛み付けないサンショのこれが唯一の武器だ」
卵の数は16個が今までで最高、平均8個抱いている。おれの考えでは年に2回卵を産んでいるのではないか、獲っても減っていかないから。10月頃にも卵抱いている。これが春まで抱いているものやら、秋は川に木の葉が多くて漁にならないからやっていない。ここで卵を産むということはわかるが、今まで一度も卵を見たことがない。見つけられないんだ」
あんまり一生懸命捕り過ぎると、減ってしまうので適当にやっている。捕らないと増えるかと言えばそうでもない。きっと沢の餌の数に限界があるからだと思う」
昭和50年6月18日、ズーを上げ、漁を終了)「これは自分が残したもの。親父の残した同様のメモもむかし見つけたが、その木は伐採された」